目黒のさんま (めぐろのさんま)
●昔の御身分の高い方々は、下々の庶民の生活はご存じありません。ですから常々少しでも知りたいと思っております。
天候に恵まれた初秋の日。お殿様がご家来を連れて、目黒不動参詣をかねての遠乗りにでかけました。目黒(その頃、江戸の郊外だった)に着かれたのはお昼近くのことでした。
近くの農家から、秋刀魚を焼くいい匂いが漂っております。その時、ご家来が「かような腹ぺこの折りには、秋刀魚で一膳茶漬けを食したい」といったのを聞きつけたお殿様、「自分もぜひ秋刀魚というものを食してみたい」とご家来に所望した。
さあ困ったご家来衆。「秋刀魚とは下魚でございますゆえ、お上のお口にはいりますような魚ではございません」
といったものの、お殿様のお言いつけではしかたがない。何とか農家のおじいさんに頼んで焼いた秋刀魚を譲ってもらうことにした。
お殿様は、生まれてはじめての秋刀魚がすっかり気にいられた。お腹が空いていたことも合わさって忘れられない味になってしまった。
ところが屋敷に帰っても、食卓に秋刀魚のような下魚は出てこなかった。
ある日のこと、親戚のおよばれでお出掛けになりますと「なにかお好みのお料理はございませんでしょうか。なんなりとお申し付けくださいまし」というご家老の申し出に、すかさず秋刀魚を注文した。
親戚は驚いて、日本橋魚河岸から最上級の秋刀魚をとり寄せた。このように脂が多いものをさしあげて、もしもお体に触っては一大事と、十分に蒸したうえ、小骨を丁寧に抜いて、だしがらの様になった秋刀魚を出した。
「なに、これが秋刀魚と申すか。まちがいではないのか?
たしか、もっと黒く焦げておったはずじゃが・・・」
脂が抜けてぱさぱさの秋刀魚がおいしいはずがありません。
「この秋刀魚、いずれよりとりよせたのじゃ?」「日本橋魚河岸にござります」
「あっ、それはいかん。秋刀魚は目黒にかぎる」
(http://www.asahi-net.or.jp/~uk5t-shr/meguronosanma.html より転載)
三代目三遊亭金馬(1894-1964)の語る 目黒のさんま。 金馬の落語は、はっきりして解りやすく話の中の登場人物もきちんと分れていて、映画でも見ている様で、いつ何時何回聞いても面白くって絶対に飽きられないですね。
(http://www.youtube.com/watch?v=-e3By6ov0PY より転載)
CDにて
王子の狐(おうじのきつね)
●田んぼの稲むらの陰で、狐が若い女に化けるのを見た男。化かされる前にと、女に「お玉ちゃん」と声をかけ、一緒に料亭扇屋の二階に上がる。
女は食べて、飲んで酔って寝てしまう。
男は玉子焼き三人前をみやげに、代金は二階のご婦人が払うと言い帰ってしまう。
女中に起こされた女、勘定は自分持ちだと聞かされ、驚いて神通力を失い狐の正体の戻ってしまう。
店の若い者から袋叩きにあった狐、最後の一発を放し、なんとか逃げる。
店の者は主人から「この店が繁盛しているのは王子稲荷様のお陰なのに、そのお使い姫の狐になんということをしてくれた」と叱られ、主人共々王子稲荷に詫びに行く。
一方の狐をだました男も、狐は執念深いから、家族はたたられるぞと脅かされ、手土産を持って謝りに狐穴を探しに行く。
狐穴から出て来た子狐を見つけ訳を話し謝り、土産を渡す。
穴に戻った子狐と母狐の会話。
子狐 「きのうの謝りに来たってこんなもん持って来たよ」
母狐 「なんだいそりゃ」
子狐 「あけて見ようか」
母狐 「あけてごらん」
子狐 「あ、ぼたもちだ、おっかさん一つ食べてもいいかい」
母狐 「ああ~、食べちゃいけない。馬の糞かも知れない」
(http://homepage2.nifty.com/8tagarasu/oujinokitune.html より転載)
戦後では、八代目春風亭柳枝の十八番として知られ、・・・
(http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2006/05/post_3fcf.html より転載)
おもしろかった この師匠の語りは上品
(http://nicosound.anyap.info/sound/sm9906106 より転載)
にこ★さうんど♯にて