鰻の幇間(うなぎのたいこ)
●幇間の一八が通りで出会った浴衣姿の旦那が誰だか思い出せないが、昼飯でも御馳走になろうと企んで、よいしょを始めた。
旦那が言うには、湯屋に行く途中だから長居はできないので近くの鰻屋に行こう。自慢の下駄を脱いで二階に上がり、香香で一杯始め、鰻が出てきた。旦那がはばかりに立ったので、お供しようとすると、いちいち付いて回るのが鬱陶しい、はばかりくらい一人で行けると言うので、部屋で待つことにした。
いつまで経っても旦那が戻らないので迎えに立つと、先に帰ったという。忙しいと言っていたから仕方がない、御捻りくらいは置いていったはずだと、帳場に尋ねるが、そんなものはないと勘定書きを持ってきた。勘定が異常に高いので文句を言うと、先の客がお土産を二人前もって帰ったと言う。
帰るから自分の下駄を求めると、先客が履いて帰ったと。仕方なくあいつのぼろ草履を出せと言うと、新聞紙に包んで持って帰った。
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-142.html より転載)
この高座。確かに名人文楽の、78歳時の高座として、しかもカラー映像として、未来永劫に残さなければないらい映像です。しかしながら私はこの映像を見て・・・文楽師匠、ご苦労さん。ありがとうございました・・・と云ってあげたい。
歳は取りたくないよね。自分のベストが出せなくなった噺家さんの辛さが、私には痛いほど判る。この映像の二年前に二歳年上の志ん生さんが高座を降りちゃいました。でも、文楽師匠は、カラー映像まで残せたんだから・・・頑張ったんです。
(http://yabu.269g.net/article/14914322.html より転載 ママ)