あくび指南(あくびしなん)
●あくびの指南所ができたので、熊さんが源さんを連れて習いに行った。
無意識のあくびは駄あくびといってくだらない、初心者のあくびには、春夏秋冬とあるが、一番易しい夏の稽古をしましょうということで、師匠が手本を示す。
「(船遊びの夕暮れ時で、体が自然と揺れている、煙草を一服吸って)船頭さん、船を上手にやっくれないか、堀から上がって、一口やって、中へでも繰り込んでわっと騒ごうよ、船も良いけど長く乗っていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」と言う具合。
熊さんが、真似をしようとするが、体を揺すり過ぎたり声がでかすぎたり、話が脱線したりで、うまくできない。
「あなたは、不器用ですな」
このやり取りを聞いていた源さんが、
「こんなくだらねぇ話を聞いていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」
「ああ、お連れさんはご器用だ」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-111.html より転載)
☆「あくびの稽古」は東京落語の「あくび指南」ですが、上方落語版の方がおそらく元なのでしょう。南光師匠のこの口演で初めて上方版を聴きましたが、上方版の方がくすぐりが多くて、数段面白いように思います。同時に上方版には毒があるようにも思います。この南光師匠の「あくびの稽古」は、枝雀一門にしてはゆったりとした語り口で、違和感を感じなくもありませんが、くすくすとした笑い声が観客から聴こえてくるように、大爆笑噺ではないもの、笑いが止まらない噺になっています。
(http://ameblo.jp/to7d/entry-11394292166.htmlより転載)
東京では、『あくび指南』の題が、ほとんどですな。あらすじや、サゲは一緒ですけれども、あくびの種類が違います。この辺がまた、おもしろい所ですよねえ。東西で、あくびの仕方が異なるて。寄席では、ちょいちょい聞きますね。所有音源は、故・桂枝雀氏、桂南光氏のものがあります。枝雀氏のものは、やはり、よく笑わせていただきました。この、稽古好きな男が、ホンマに、アホらしゅうて。爆笑です。南光氏のものも、笑いが多く、案外、先生が、もっともらしくしているところにまた、おかしさがあり、私の好きなネタでありますな。
(http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2975/sub131.htmlより転載)