かぜうどん(かぜうどん)
●大変寒い夜、うどん屋が商売をしていると、通りを酔っぱらいが歌いながらいい調子でやってくる。相手にしまいと思うが、向こうから声をかけてくる。お湯をくれという。帰り道、どぶ泥で着物が汚れたので洗いたいという。商売のためだと思って、お湯をかけてきれいにしてやる。つぎには水をくれという。「お冷や」ですかと聞き返すと、理屈を言って「水」と「お冷や」は違うといって困らせたあげく、うどんを注文せずに行ってしまう。うどん屋はあきれて、場所が悪いから、場所を変えて、売り声を上げる。その近くの家では仲間が集まって賭け事をしている。うどん屋の売り声を聞こえる、腹がへっているので、うどんを食べようと言うことになる。十杯のうどんを注文し、近所に遊びがばれないように、気をつけて持ってくるように言いつける。うどん屋は気を遣って小声で届けると、その気遣いが気に入られて、明日から毎晩回ってくるように言われる。嬉しくなる。そこから離れて再び売り声を上げると、小声で呼び止められる。また、たくさんの注文があるかと期待するが、一杯の注文。初めてのうどん屋なので味見をしてから、たくさんの注文をしてくれる物と期待をするが、それを食べて代金を払ってくれる。「おおきに、ありがとうございます」「うどん屋、よかったら明日もまたおいでや。うまかった」「おおきに、ありがとうさんでございます」「うどん屋」「うどん、おかわりですか?」「うどんは今食うたけどな、げほっ、お前もやっぱり、風邪ひいてんのんか」
(http://yunomi.seesaa.net/article/49862257.htmlより転載)
東京では、主に、『うどん屋』の演題でございます。一つずつの話の内容が、少し違ったり、順番が変わったりしておりますけれども、中身は、おんなじものでございます。故・五代目柳家小さん氏も、ちょこちょこ、やったはりまして、よくウケておりましたね。所有音源は、故・桂枝雀氏、故・桂吉朝氏のものがあります。枝雀氏のものは、やっぱり、爆笑型ですな。そんなに、筋がハッキリしているものでもございませんので、こういうものは、なかなか難しいんですが、こういうものこそ、お得意でしたよね。おもしろかった。吉朝氏のものも、笑いが多く、おもしろかった。最後の、うどんを食べる所、いや実に、おいしそうに、すすってはりましたわ。目に浮かぶように、思い出しますな。
(http://www.geocities.co.jp/hollywood/2975/sub134.htmlより転載)