野ざらし(のざらし)
●昨夜、八つぁんが、長屋の隣室で人の声がするから壁に穴を開けて覗いて見れば、十六八の若い娘がご隠居の足を摩っている。一体あれはどういう訳だ。見られたなら話そう。
向島の土手下で釣りをして帰ろうとすると、葦の薮から鳥が飛び立ち、行って見たら髑髏があった。野に屍を晒すのは気の毒と、残り酒を手向けて供養をした。その深夜、向島から来たという娘が、やっと浮かばれた。お礼に体を摩るなどの伽をさせろという次第だ。
釣りをして、髑髏を見つけて供養をすれば、いい女が家に来てくれるってんだな、よし、分かった。この釣竿貸してくれ。
新造釣るか年増を釣るかと、餌も付けずに竿を構えて、都々逸半分で妄想の世界に入り込む。向島から女が来た、浮気はだめだと妬くんじゃないよと一人芝居。回りの釣り人は気味悪がって離れて見ている。騒いで、顎に針がひっかった。針で釣る訳じゃねぇやと。
「ありゃ、とうとう針を取っちゃったよ」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-91.html より転載)
志らくの「野ざらし」を聴く。談志と小三治と柳好のミックスのようだ。さらに志らくのアレンジが加わる。先生だまってこの手の上に1両乗せな、は談志。お前だろ、こないだ大家のうちの柱時計を懐に入れたってのは、は小三治。鐘が鳴って仏が出るなら時計屋の周りは仏だらけ、ってのは柳好。
(http://blog.livedoor.jp/isogaihajime/archives/1229980.html より転載)