時そば(ときそば)
●江戸時代の時刻は、一時とか五時とか言わずに、四つとか六つなどと呼んでいた。
「おーい蕎麦屋、何が出来る?」「へい、出来ますものは花巻に卓袱です」「それじゃ、卓袱を熱くしてくんな」
屋台の蕎麦を食いながら、やたらに蕎麦屋を誉める。「良い器を使ってるねぇ、料理は器で食わせるってがホントだねぇ」てな調子、さて勘定を払う段になって、「十六文かい、ちょいと細かいから手を出してくれ」「へい、それじゃこちらに」「ひぃふぅみぃよぅいつむぅななやぁ、なん時だい?」「九つで」「とぉ、十一、十二、十三、十四、十五、十六と、ご馳走様」
まんまと一文ごまかしてしまった。
これを見ていた男が、小銭を用意して翌日同じことをしようとした。
さて勘定は、「ひぃふぅみぃよぅいつむぅななやぁ、なん時だい?」「四つで」「いつむぅななやぁ、、、、あれ!」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-39.html より転載)
本日の1席目は「時そば」。この噺がピッタリなほど冷え込みが厳しい夜でした。でも、聴き終わった後に蕎麦を食べて体を温めようと思わせるような風情は微塵もない、志らくらしい「時そば」でした。
初めの男がそばを食べる場面、そばをすする様子がイマイチおいしそうではない…と思っていたら、「うまいんだか、下手なんだから、中途半端」と自分から言い出しました。
「でも、昇太はもっと…」と真似をして笑わせたり、さんざんかっこんだ後「こんなもんでいいか」と自虐ギャクが続きます。
そばで見ていた男が、金を払う場面を思い出し、「変な時に、時を聞きやがった。おれなら最後に時を聞く…16、今、何時でい? 9つ、10…」と大損することに気づかせます。
2件目のそば屋のオヤジが客の男の「お前、友達だろ。かわうそだろ」と、幼なじみと顔が似ているために客とは思わないところから、どんどん志らくワールドに変質していきました。
「インド人のさるまた、ネトネトするよ」も飛び出し、ほかの誰にもできない「時そば」となりました。
(http://rakumys.blog21.fc2.com/?m&no=286より転載)