真田小僧(さなだこぞう)
●親父が小遣いをくれないので「よそのおじさんが訪ねて来た話をすれば、母ちゃんから貰えるからいいや」とつぶやくと、親父は気になり、話せと迫る。キザな白い服を着て、色眼鏡にステッキの男だ。この先を聞くなら五銭おくれと、按摩の話で小遣いをせしめた。
女房に話すと、あの子は知恵者だと言うが、本当に偉い人はと、講釈の逸話を話す。天目山の戦いで武田勝頼の加勢に行った真田安房守が、松田尾張守と大道寺駿河守に挟まれた時に、息子の与三郎が松田方の永楽通宝の旗印を付けて敵を錯乱させて窮地を救い、その時から旗印を六連銭とした。後に幸村と改め大坂方の軍師になり薩摩におちた偉い人だ。
戻って来た息子にさっきの金を返せと言うと講釈を聞いて使ったと言い、真田三代記を暗唱する。六連銭ってどんな紋だい。親父が、一銭貨を三個三個と並べて説明する途中、息子が持って逃げた。「また講釈を聞くのか」
「焼き芋買う」「家の真田も薩摩におちた」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-186.htmlより転載)
こまっちゃくれた子供が父親をペテンにかけるという、金馬が最も得意とした展開のネタ。やはり、金馬が得意にした『薮入り』と同様に、赤ん坊をあやす親の無邪気さを語るマクラは、良き時代の親子関係を思わせる。また、動物の子供の可愛さを語る部分にも、蝦蟇蛙やコオロギを飼うなど、生き物好きで有名だった金馬らしさが溢れている。丁寧に演じれば、二十五分近くかかるネタであるのと、後半に登場する講釈の知識が観客側に余りないためか、最近の寄席では、今回のように前半で切る事が多い。番組名『金馬独演会』
(https://www.dplats.jp/kura/asp/itemdetail/rakugo-dl-00036/より転載)
『「小児は白き糸の如し」と申しまして、染めようによって、どう云う色にもは染まるんだそうですな』と、語り出すのが普通です。
いろんな名演がございます。金馬師匠のモノがベストでしょうか。噺家さんによって、細かい部分が少しずつ違います。子供の年齢は、12歳(小さん)、13歳(談志)、14歳(志ん生)。金馬師匠は年齢を語っていませんが、完全に子供言葉でやってますから、8歳位でしょうか。志ん生師が14歳としている理由は、真田幸村が14歳の時の逸話を語る訳なので、それと同じにしているのだと思われます。でも14歳では、この噺の内容から考えると年齢が高過ぎます。年齢を語らずに8歳位の口調でやっている金馬師匠のがベストでしょう。柳家軍団の年齢設定は中途半端です。
(http://yabu.269g.net/article/16271655.htmlより転載)