蔵前駕籠(くらまえかご)
●蔵前に有名な駕籠屋があった。この駕籠に乗って吉原に乗り込むと男があがったという。時は幕末、明治維新直前というころ、蔵前から吉原の道筋に毎夜のごとく追い剥ぎが出没した。この追い剥ぎ、奪った金を徳川方の軍用金に使うという大義名分を持っている。吉原に使う不浄な金を有益に使うというのだから客としては迷惑な話。この噂が市中に広まって駕籠が蔵前から出なくなってしまった。そんな中、無理を承知で吉原へ駕籠を出せという客がやってくる。女郎買いの決死隊だ。この強引な客に引きずられ、駕籠かきはおっかなびっくり吉原へ向かうことになるのだが・・・。
天明時代の小話を明治維新前夜の噺に焼き直したのがこの「蔵前駕籠」。しかし、幕末の物騒な背景と、ストーリーがよく合致している。命に代えても吉原通いをするという、江戸っ子の向こう気の強さ。それに付き合う駕籠屋もまたしゃれの分かる江戸っ子気質で楽しい。この噺が放送されたのが昭和33年。売春防止法によって吉原が廃止された年だ。金馬もそれを意識して演じており、ある意味で昭和史の記録とも言える録音。
(https://www.dplats.jp/kura/asp/itemdetail/rakugo-dl-00031/ より転載)
ストーリーは単純で、駕籠屋に何とか行かせようとあの手この手で誘いをかける男と番頭のやり取りがおかしい。「女郎買いの決死隊」というくすぐりは秀逸。ただ、金馬師匠は、どちらかというと、この無鉄砲な客に対し、「何もそんなにしてまで・・・」という感触で演じている。
(http://blogs.yahoo.co.jp/cavan_club1954/53909360.html より転載)
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