芝浜(しばはま)
●裏長屋に住む魚屋。この主人は大酒飲みで商売を怠けてばかりしている。
しっかりものの女房になだめすかされて、朝の芝浜の魚河岸に出かけたが、時刻を間違えて行ったので問屋さんは、まだ閉まっていた。 浜で夜明けまでタバコをふかして待った、タバコの火玉を落ちた所を見ると財布が落ちているのを見つける。 中にはたくさんのお金が入っているびっくりして、夢中で家に飛んで帰って女房と数を数えると42両もあった。
これで遊んで暮らせると大喜びで、友達を呼んでおおいに酒を飲んで騒いで寝てしまう。
その翌朝、また女房に起こされ商いに行けと言われるが、「昨日の42両は・・・・?」と言うと、「そんなこと知らない、夢だろう」と言われる。 お金を拾ったのは夢で、友達を呼んで散財したのはほんものと聞いて、すっかり心を入れかえて禁酒を誓い 商いに精を出す。
そのかいあって3年後には表通りに店を出し、若い衆を2、3人置くようになった。その年の大晦日、女房が腹を立てずに聞いておくれと前置きして42両の金を出す。
3年前の夢はうそと聞いて 亭主は怒ろうとすると、「3年前、あんたがこのお金で朝から晩までお酒を飲むと言うので、大家さんに相談したら、そんな金を使ったら罪になる。お上に届けて、夢にしてごまかせって教えられた。」
「・・:・・・・・・・・・」
「大家さんの言う通りにしたところ、落とし主が判らなくて下がって来たお金がこれです。腹が立ったら 気のすむまでなぐっておくれ」
亭主は心から女房に礼をいい、きげんなおしに女房が1本つけた酒を飲もうとして、ちょっと考え
「よそう、また夢になるといけねえ」
(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ta_inoue/siba.htmより転載)
■芝浜
ふとしたことで酒びたりになってしまった行商の魚屋、魚勝は寒い冬の朝、女房に頼まれ、いやいや出かけた芝の浜で大金入りの財布を拾った。
だが仲間に大盤振る舞いした後、女房からそんな大金は夢だったと知らされる。これをきっかけに心を入れ替え、懸命に働き、表通りに店を持てるほどになった大晦日の夜、女房から打ち明けられた話は…。
三遊亭圓朝作と言われるこの名作は多くの落語家が独自の演出でそれぞれの世界を築いている。林家たい平はこれまでに誰も演じなかった主人公魚勝が酒びたりになった理由に綺麗な答えを用意し、新たな「芝浜」が出来上がった。
2008年12月12日 銀座・博品館劇場「たい平たっぷりナイト3“芝浜スペシャル”」にて収録
(http://columbia.jp/artist-info/taihei/COBA-4812.htmlより転載)
想像はしていたけど、予想以上にたい平の「芝浜」は談志の影響が色濃いですね。その意味は、おかみさんが主役の「芝浜」だっていうことですが、その饒舌ぶりがまだ強烈な説得力というところまではいっていないという気がしました。よい時の談志の「芝浜」はディテールの丁寧さと緩急の自在さが圧巻なんだけど、まだまだたい平のおかみさんはただ一生懸命すぎるような…。
むしろ、出だしの魚屋の亭主の無頼ぶりがちょっと独特で面白かったのと、海に行くまでの寒さの描写(ここも談志の影響大だとは思うけど)が傑作だと思いました。
(http://blog.goo.ne.jp/virginia-woolf/e/27d210a3a527dd3d6a5e061b87e5923cより転載)