明烏(あけがらす)
●遊びを知らない堅物の息子の時次郎の将来を心配した商家の旦那が、源兵衛と多助に頼んで浅草の裏のお稲荷さんにお参りに行くと偽って、吉原に連れていってもらうことにした。日帰りのお参りではなくお篭もりするようにと、お賽銭として、銭も沢山持たせた。
吉原の大門を鳥居だと言い、巫女さんの家だと偽って女郎屋に連れ込むが、とうとうバレてしまった。こんなところにはいられないからと、若旦那が一人で帰るというのを、吉原の決まりとして大門で通行が記録されているので、三人連れで入って一人で出ると怪しまれて大門で止められると嘘で説得して、無理矢理に一晩つきあわせた。
翌朝になって、若旦那が起きてこない。花魁は口じゃ起きろ起きろというが足で押さえていると、布団の中でのろけている。ばかばかしくなった二人が先に帰ろうと言うと、先に帰れるものなら帰りなさい。
「大門で止められます」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-151.htmlより転載)
つい先日、気になっていた林家たい平師匠の『明烏』を伺いました。まァびっくりいたしました。
たぶん、たい平師のオリジナルのくすぐりがいくつかございまして、それが大傑作でございました。たとえば、吉原に騙されて連れられてきた若旦那がごねにごねて、大泣きをする場面がございます。それを見た悪友のひとりがこう言います。
「あれ……嗚咽してるよ。嗚咽ってんだろ、ああいう泣き方を。読めるけど、書けないよ!」
ここでお客様は大爆笑に包まれます。
(http://todotaro.hatenablog.com/entry/20120215/1329233658より転載)
◆林家たい平「明烏」(sky.A『らくごくら』)。
大阪ほたる町ABCホール、平成22(2010)年10月18日(「スカイ・A 開局20周年記念 らくごくら落語会」)。
『笑点』をかならず見るようにしてから、もう一年以上経つか。あの大喜利のアクの強いメンバーのなかで、そこにとけこもうという努力はありやなしやだが、いずれにしても、たい平の常人ぶりが理解されてきた。そして、人がらのやさしさも。
こんなとき、いつも思うのは、こういう性格の人が噺家に向いているのかどうだろうかということだが、少なくとも、この「明烏」の若旦那を演るという分には、このたい平のキャラは利しているとは言えそうだ。
(http://yaplog.jp/chilurin0223/archive/273より転載)