ねずみ (ねずみ)
●江戸に下り、大工、政五郎の家に居候していた左甚五郎が、奥州の旅に出て仙台城下に入り、客引きの小僧に誘われるまま、鼠屋という見窄らしい小さな宿に泊まった。向かいには仙台一の大宿、虎屋がある。
店主の話によれば、以前は虎屋の主だったが、番頭に騙されて乗取られたという。
甚五郎は木片で鼠を彫って置いていった。名人甚五郎の鼠が動くというのが評判になり、鼠屋には連日客が大入りで、増築をし、奉公人も増えて来た。
一方、向かいの虎屋は寂れるばかりで、一計を案じた主人が飯田丹下に虎を彫らせて、鼠を見下ろす二階の手摺りに置いたところ、鼠が動かなくなってしまった。
知らせを受けた甚五郎は、二代目政五郎と共に駆けつけ、虎の出来はたいしたことがないと思った。そこで動かなくなった鼠にあの虎がそれほどに怖いのかと尋ねたところ
「あれは虎だったんですか、猫だと思った」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-162.html より転載)
落語とか好きな人はやはり過激な方が多いわけで、好みも激しい方が多いわけですが、そんな中で、みんながみんな結構好きでその割にはアンチが居ないという点において、入船亭扇橋師匠は代表格のひとりになるのかなと思います。あとは、小遊三師匠とかもそうかもですね。他にもいらっしゃるでしょうけど。
さすがにお年をそれなりに召されているわけですが、扇橋師匠の「ねずみ」がしっかり映像で残っているというのは実に素晴らしいことだと思っています。このDVD、映像が収録された時期がそれぞれものすごいです…。
(http://d.hatena.ne.jp/kskmeuk/20140226/1393346818より転載)
「ねずみ」は、左甚五郎が、落ちぶれた宿屋をたてなおすストーリー。飄々とした語り口が、ふらりと立ち寄った旅の天才彫り物師にぴったりで、独特のかっこよさがあります。甚五郎相手にズケズケとものを言うとぼけた宿屋のこどもから、最後の最後に、胸のすくような一言を言う、甚五郎に命を吹き込まれたネズミの彫り物まで、すべての登場人物が生き生きとしています。もっとも、腰の立たない宿屋のおやじだけは、逆にしゃんとしすぎ?楽しく笑って、最後の一言でスカッとする。なんだか、よくできた映画でも観たような気分になりました。
扇橋師匠、ただのおじいさんではなかったようです。寄席での声援のわけが、何となくわかったような気がします。今度聞く時までには、何とかついていけるようになっていたいものだ、と思いました。やっぱり落語は奥が深い。
(http://nora-p.at.webry.info/200611/article_1.htmlより転載)
落語家の入船亭扇橋さん死去
2015年7月11日16時00分
巧みな話術と奥行きのある語り口で人気を集めた、落語家の入船亭扇橋さんが10日、呼吸不全のため亡くなりました。84歳でした。
入船亭扇橋さんは、東京都で生まれ、昭和32年に26歳で3代目の桂三木助に弟子入りして落語家になりました。桂三木助が亡くなったあとは、5代目柳家小さん門下として昭和45年に真打ちに昇進し、9代目入船亭扇橋を襲名しました。
扇橋さんは「芝浜」や「文七元結」、それに「鰍沢」などの古典落語を得意とし、巧みな話術と奥行きのある語り口で人気を集めました。
昭和57年には文化庁芸術祭の最優秀賞を受賞したほか、NHKラジオ第一放送の公開演芸番組「真打ち競演」などにも出演し、古典落語の魅力を多くの人に伝えました。
落語協会によりますと、扇橋さんは脳梗塞のため、4年前から入院していたということですが、10日に呼吸不全のため亡くなりました。
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150711/k10010147381000.htmlより転載)
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