※「たちぎれ」は収録されていません。
たちぎれ (たちぎれ)
●若だんなが芸者小糸と恋仲になり、家に戻らないのでお決まりの勘当となるが、番頭の取り成しで百日の間、蔵に閉じ込められる。その間に小糸の心底を見たうえで、二人をいっしょにさせようと番頭がはかるが、蔵の中から出した若だんなの恋文への返事が、ある日ぷっつり途絶える。
若だんなは蔵から出たあと、このことを知り、しょせんは売り物買い物の芸妓と、その不実をなじりながらも、気になって置屋を訪れると、事情を知らない小糸は捨てられたと思い込み、焦がれ死にに死んだという。後悔した若だんなが仏壇に手を合わせていると、どこからか地唄の「ゆき」が聞こえてくる。
…ほんに、昔の、昔のことよ……
これは小糸の霊が弾いているのだと若だんなが涙にくれると、ふいに三味線の音がとぎれ、
「それもそのはず、線香が立ち切れた」
(http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2009/04/post-1459.htmlより転載)
この「立ち切れ」は、笑福亭の元祖と言われる松富久亭 松竹(しょうふくてい しょちく)の作だとのこと。しかし現在、笑福亭でこの噺を高座に掛ける人がいないことが鶴瓶さんが取り組む契機になったそうだ。
鶴瓶さんは映画俳優としても活躍しておられるだけに役作りが巧みで、実に味わい深い「立ち切れ」に仕上げられていた。特に話の中盤に登場する番頭の威厳ある態度が絶品だった。
(http://opera-ghost.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-ddbb.htmlより転載)
トリは鶴瓶。しかもネタ出しで「立ち切れ線香」。「最初は違うのん言われたんですが、それは出来へんと断りまして、じゃあ『立ち切れ』演れと」いうことになったそうです。断った噺が何だったのか、非常に非常に気になるところですが、それは置くとして、「この噺、よく円都師匠がかけてはったので、聴いてはいましたが、よう寝ましたわ」と鶴瓶師匠。しかし、お茶屋にはよく行ったそうで、「俺、落語せえへんのに、こんな古い芸者さんから昔の話聞いてなんになるんかな、と思っていましたが、今日このためにあったとは」というところ、笑いました。
さて、本編ですが、ありていに言って、私、なんべんかこの噺を聴きましたが、どこがええのか、よくわかりません。あえて言ってしまえば、私は誰が小糸を殺したかと言えば、小糸の母でもある女将なのではないかと思うのです。女将が、母と女将との間で宙ぶらりんの態度を取り続けた結果の悲劇ではなかったか。
(http://homepage2.nifty.com/Curious-G/starthp/subpage80068.htmlより転載)
そしてトリ。今日のお客さんは、大半がこのトリが目当てだったと思われる、鶴瓶師匠の登場!
演目は、上方落語の人情噺の横綱クラスの大ネタ「立ち切れ線香」!
毎回、鶴瓶師匠は期待以上の落語を演るのだが、今回も、その期待を裏切る事のない素晴らしい完成度だった。
出てきて、いきなり一言「この噺…寝ますよ!」
これで大爆笑。そのあと、お茶屋のシステムや詳しい噺の解説をした後、本題へ。
「寝ますよ」な~んて言ってたが、見事の一言に尽きた。心底感動し、噺に引き込まれた。タレントとしての鶴瓶師匠は、どうもね…と思うが、噺家としては、上方の噺家の中では、断トツだと思う。本当に凄かった。
(http://plaza.rakuten.co.jp/torazou/diary/200611160000/より転載)