子ほめ(こほめ)
●灘の酒を只の酒と勘違いした八っつあんが、ご隠居の家に行って、酒を飲ませろと言う。
突然そんな言い方をしないで、まずは世辞愛嬌を言うものだ。年齢を四、五歳若く言われると誰でも悪い気はしないと教わった。
昨夜、竹さんとこで子供が生まれたからと、子供をほめに行く。
「竹さんほめに来たぞ、どこにいるんだい」
「ありがとうよ、そこで寝てるよ」
「これかい、随分大きいね」
「大きい子だって産婆もほめてくれたんだ」
「おじいさんにそっくりだね」
「そりゃ本人が昼寝しているんだよ」
「おお、こっちか、こりゃまた小さいね。先だって亡くなったおじいさんにそっくりで」
「止せよ、聞こえるよ」
「ときにこのお子さんはお幾つでしょうか」
「生まれたばかりだから一つだよ」
「一つにしちゃお若く見えます、どう見ても只みてえだ」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-85.htmlより転載)
●「ひとり会」以降、数多く行われた独演会の膨大な映像素材から、自らの芸に厳しい談志自身が厳選した演目を収録したDVDシリーズ。現役落語家の映像としては初DVD化であり、初映像化の演目も多数収められているのもファンには嬉しい限り。記憶に新しい平成の世のあの事件、あの出来事を鬼才・談志が斬っているお馴染みの枕も必見!第5巻は2002年9月に東京芸術劇場にて行われた『高座五十年、立川談志』から、「子ほめ」「粗忽長屋」の2演目を収録。日本伝統の芸・落語の真髄を味わえる。
(http://www.imagef.jp/commodity/d_0385.htmlより転載)
「子ほめ」は前座話で、隠居さんにただで酒を飲ませてもらう方法を伝授され、まず、道端であった番頭さんに取り巻く「どう見ての厄そこそこ」が通じず、相手を怒らせてしまい、子供の生まれたばかりの友達のところで、子供をほめようとして失敗する・・・・
家元は、まず、落語論をしばらく話した後、「アドリブでやってみるか」と子ほめに入る。「事実の部分的拡大」などのおよそ落語らしくないくすぐりは、「まくらはいらない」といいながら、前段の落語論で仕込んであったと見た。そこから先が、「アドリブ」のためか、はちゃめちゃである。隠居に教わっていない(他の噺家なら必ず入れるもの)ほめ方を使ったり、「厄そこそこ」の相手を省略したり・・・・これは、本当にアドリブだったのだろうか?どうも、最初から、この日の観客は、ある程度落語を知ってる人だという前提で、みんなが知ってる部分を省略して、あとで使ったりしてるのだろう。そして最後の家元独特の下げに入る。なんとも、過去の噺家の伝承をひっくり返す演出である。
(Amazon カスタマーレビューより転載)