お茶汲み(おちゃくみ)
●吉原の安大国(やすだいこく)という店に初会で上がった男を見た田毎(たごと)という女郎がいきなり悲鳴を上げた。聞けば、駆け落ちをした男の病気を治そうと、金のためにこんな世界に身を沈めたが男は死んでしまったという身の上。その男とそっくりだったので思わず声を上げたのだという。年季があけたら一緒になりたいと泣くのを見ると、目のふちにさっきまで無かった泣きぼくろが出来ている。湯飲みのお茶を目になすっていたので茶殻が付いたのだ。
「いやあ、面白かった」という話を聞いた男、その店に出掛けて行くと、女を見たとたんに悲鳴を上げ、駆け落ちをした女が身を売ってくれたが、病気で死んでしまった……と女のお株を奪ってしまう。
「どうか年季があけたら一緒になっておくれ……おい、どこへ行くんだい」
「ちょっとお待ち。今お茶を入れてあげるから」
(http://meisakurakugo.web.fc2.com/rakugo/05-o/0555ochakumi.htmより転載)
歌丸さんの廓話です。線が細いというのもあると思いますが、歌丸さんの女性の仕草などの表現は巧いなぁと思います。昔圓生今歌丸と言うと言い過ぎかもしれませんが。
「お茶汲み」は、志ん朝師に言わせるとあまり面白みのない廓噺だそうだが、実家が横浜の遊郭である歌丸師の高座では情景描写や人物造形が生き生きとしてくる。
(http://sharakusai.wordpress.com/2008/11/18/%E6%A1%82%E6%AD%8C%E4%B8%B8%E3%80%8C%E8%B3%AA%E5%B1%8B%E8%94%B5%E3%80%8D/より転載)