転失気 (てんしき)
●ある寺の住職は負け惜しみの強い方。知らないと言うことが嫌いな人。ある時、風邪をひいて、医者に診てもらう。すんだ後で「転失気はありますか」と聞かれ、知らなかったが「ない」と答えてしまう。先生が帰った後、小僧の弁長に、いつも教えてくれると思うからすぐ忘れてしまうのだから、他の人に教えてもらうほうがいいと、「転失気」を門前の花屋に借りてくるように命じる。花屋はちょっと前にはたくさんあったが、お付けに入れて食べてないとの答え。和尚にその旨を伝えると、医者から薬をもらってくるときに、ついでに聞いてくるように言いつける。その時、自分腹からでたものであるように聞くように付け加える。先生に聞くと「おなら」のことだと教えてくれる。和尚は知らなかったのだとわかり、自分を使って聞いてこさせたのだとわかり、「転失気」は「盃」のことだと嘘を言った。和尚も「飲酒器」のことだと信じ込む。なか一日おいて先生がお見舞いにやってきた。和尚は回復の礼を言うとともに、粗末だが転失気があり、お目にかけると申し出る。先生はちょっと困った顔。「拝見いたすには及ばん」「いやいや、手前自慢の転失気もござる。とりあえず、三つ組みを」「三つ組みの転失気を!!」--おなじみのおならの失敗でございます。
(http://yunomi.seesaa.net/article/41731638.htmlより転載)
大人の知ったかぶりを風刺した子どもの視点から描かれた楽しい噺です。
医者の往診を受けた和尚さん、最後に「てんしき」はありますかと尋ねられ、その意味を知らないと言えずに小僧の「珍念」を使って探ろうとしますが、同じくその意味を知らないことを叱られた珍念さんは和尚さんに可愛い反撃をしかけました。
林家たい平落語集「はじめの一歩」(COCJ-35553)に収録
(https://www.dplats.jp/kura/asp/itemdetail/rakugo-dl-00303/より転載)