薄型テレビ算(うすがたてれびざん)
●10万円の予算で50インチのフルハイビジョン薄型テレビを買いたいという無茶な男が買い物上手のアニキ分と共に秋葉原へ。一通り廻ってから、秋葉原の外 れの小さな個人商店に狙いを定める。50インチのフルハイビジョンは29万8千円だが、アニキは「俺に任せとけ!」と請け合った。
アニキは大学の学生課勤務と称して「新入生に良い電気屋さんを紹介してくれと頼まれる」立場だと強調し、店頭在庫を抱えると損を背負い込む個人商店の弱み に付け込みつつ、まずは店主に9万9千8百円の27型テレビを値引きさせる。店主が「8万円に値引きした上に、これをサービスでお付けします」とオーブン トースターやポットを付けると、「くれなくていいからオーブントースターとポットの仕入れ値を引いてくれ」と要求、「自分で運ぶから」配送料を引き、さら に「今日の全品サービス」分も引いて5万円に値切って購入、5万円払ってその領収書をもらう。
27型テレビを持って店を出た二人、すぐ に戻ってきて「やっぱり42型が買いたい」と言い出す。「14万8千円です」「じゃ、今度はこっちが負けよう。それ15万で買うよ。その代わりこの27型 引き取ってくれる?」「ええ、5万円で」「じゃ、さっきの5万円に5万円足して10万、そこにこの27型の5万を足して15万円だよね」「はい」「じゃ、 領収書ちょうだい」
42型を持って帰ろうとする2人を呼び止める店主、「判りましたよ、トリックが! 先祖は壺売ってて騙されたりしましたけど、遂に店主側が勝利する日が来ました!」とアニキの詭弁を打ち負かそうとするが、かえって泥沼にハマる。
アニキはさらに何段階にも店主を惑わす手続きを用意し、混乱の極みに達した店主に「じゃ、何も取引が無かった最初の時点に戻ろう」と持ちかけ、店主は「お 願いします!」と賛成する。ここでまた幾つかの罠を用意したアニキ、手元に30万円が残ることになって、「この30万で50インチのフルハイビジョン薄型 テレビちょうだい!」という結末へ…。
古典落語『壺算』の舞台を現代の電気街に変え、詐欺の仕組みをさらに何段階もヒネって複雑化した、談笑ならではの「頭脳を刺激する」改作。
(http://rakugo.sl.lcomi.ne.jp/archives/article/48141.html より転載)
薄型テレビ算 (うすがたてれびざん)
この噺、難しいからようく見聞きしてください。古典に詳しい方なら元ネタは「壷算」とすぐに判ります。たまに新聞の三面記事に、「時そば詐欺」なんて、見 出しが出ることがありますが、あんな手口で騙される人は、落語の世界だけ。実際は、この「壷算詐欺」が多いのです。騙す側の技を愉しむ噺です。でも、騙される側にもなってみてください。これを、“進作落語”の改作王・談笑は、「薄型テレビ算」にしちゃいました。元ネタよりも複雑です。油断も隙もありゃしな い。因みに白鳥師は、元の噺もよく理解できないと言っていました。
(http://blog.fujitv.co.jp/fujirakugo/vol2/E20101227001.html より転載)
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