やかん(やかん)
やかんは、昔は軍用に使い、本来は水沸かしというべきもので、もっと大きかった。戦の最中大雨の夜、油断をして酒に酔っていると、突然の襲撃に、夜討ちでござる、夜討ちだぁと叫んでみんな大慌て。具足を付けたまま寝ていたひとりの若大将が、ガバッと跳ね起きたが兜がない。近くにあった大きな水沸かしの湯を空けて頭に被ると、バババババっと、馬の蹄を蹴立てて敵陣に切込む。敵方は雨のように矢が射るが、当たっても矢がカーン、当たっても矢カーンと跳ね返される。それでやかんという。また、熱いまま被ったので蒸れて毛がすっかり抜けてしまい、それから禿頭をやかん頭という。
ツルは顎紐に、蓋は口にくわえて面の代わり、口は敵の名乗りを聞くための耳だ、耳が下を向いているのは雨が入らないように。
どうして耳が片方しかないんだい?
片方がないのは、寝る時に枕をあてるため。
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-54.html より転載)
72歳(当時)の談志は、本番数日前に風邪でダウンして、一時は出演も危ぶまれていた。何とか会場入りを果たすものの、声の調子は最悪。周囲が心配する中で、予定を変更して得意の「やかん」を一席演って高座を下りていった。
・・・「やかん」という咄は、自分は何でも知っていると豪語する隠居が、八五郎という男から次々繰り出される質問にいかにももっともらしく答えていく、というもの。談志の「やかん」は本来なら、屁理屈とナンセンスと批評精神に満ちた談志落語の代名詞とも言える傑作である。だが、この日の談志は声が枯れていて、なかなか観客をつかみきれない。毒気混じりで世相に斬り込み、悪態をつき、最後は圧倒的な話芸の力で観客をねじ伏せるいつもの談志の姿はそこにはなかった。
談志の「やかん」の中で、隠居は「努力とは何か」と聞かれて「馬鹿に与えた夢」と答える。普段なら天才肌の談志がこれを言うから皮肉に聞こえるのだが、この日の談志は文字通り、精一杯の気力を振り絞って「馬鹿に与えられた夢」に必死にしがみついているようにも見えた。
(http://www.cyzo.com/2009/03/post_1651.html より転載)
ウィットの失敗。
ある意味、自虐的。
談志って、そんなトコあるからね。
ヽ(´ー`)ノ
この「やかん」は、家元がこの高座で色んな事を試してる様子がよくわかる仕上がりになってますね!
このネタはある意味家元とご隠居の人物像がかぶっているから、まさに活き活きとしていますな。
(YouTubeコメントより転載)
ニコニコ動画にて