不動坊火焔(ふどうぼうかえん)
●あるところに、それは美しい未亡人がおりました。年の頃は27、8。当時は年増と呼ばれる年齢なのですが、個人的には女性は30歳になってからと感じる人間なので、僕としては全然OKな年齢です。もっとも、僕がOKだろうが、どうだろうが関係ないのですけれど。
ともあれ。
たいへん美人だったので、色々と縁談はあるわけですが、そんな中、彼女のハートを射止めたのが吉さんです。しかも、アタックしたのは彼女の方。吉さんとしては、二つ返事で承諾するわけです。
これを知った長屋の連中は面白くない。なんとかこの縁談をぶちこわしてしまえと、やな相談をして、前の夫に似た者を幽霊に仕立て上げ、夜中に吉さんの天井からヒモでつるして吉さんを驚かせようとします。
さすがに吉さん驚いたものの、愛する女性のため、幽霊なんぞに負けてなるものかと逆に啖呵を切ります。
「おいおい、可愛い女房を残して勝手におっちんじまって、化けて出てくるとはふてえやろうだ。こちとら女一人で苦労するだろうと心配して結婚するんだ。感謝されるならともかく、恨まれるおぼえはねぇ!」
吉さんの勢いにすっかり平謝り状態の幽霊。そんな幽霊に吉さんは
「わかったら、宙に浮いてないで成仏しろ」
幽霊はもじもじして
「へぇ、宙につるされているものですから……」
(http://homepage3.nifty.com/~tomikura/rakugo/h3.html より転載)
「不動坊火焔」
長屋の吉公が講釈師不動坊火焔の後家を女房にもらうことになった。
それを聞いて面白くない独り者達が、婚礼の晩に嫌がらせとして幽霊を出すことにした…。
明るく楽しく、時にオーバーアクションで登場人物を描きまくる、爆笑落語の雄・柳家権太楼の十八番。
ニコニコ動画にて