小言念仏(こごとねんぶつ)
●毎朝念仏を日課としている爺さん。信心深いがすぐ小言をいってしまう性格。その日も朝早くから念仏を唱えている。でも、家人の動きが気になる。すると、「なむあみだぶ、なむあぶだぶ、おばあさん仏壇そうじしなくちゃいけないよ。なむあみだぶ、なむあみだぶ…」と我慢できず小言をいってしまう。もう止まらなくなってしまい「なみあみだぶつ」の間に小言を入れる有様。子供を起こさないと学校に間に合わない、やかんのお湯が沸騰している、ご飯のこげたにおいがする、赤ん坊が這ってきたら念仏の合間に「バァ。」、様子がおかしいから家のものに見ておくよう(爺さんはずっと観察していたわけである)など思った小言をひとつ残らずいってしまう。極めつけは、みそ汁の具のどじょうを買うため、家の前を通るどじょう屋を呼び止める際、「なみだぶだあ!」叫び、念仏がわりに「どじょうや、どじょうや…」と唱えてしまいアベコベになってしまう。
普段、小言の多かった金馬の人にあった噺で、実際得意にしていた。現代にはあまりこの主人公のような人を見受けることはないが、短く笑いのとれる噺なので寄席でよくかけられる。この噺は扇子で高座を一定のリズムでたたきながら、念仏を唱えている雰囲気を出している。
(https://www.dplats.jp/kura/asp/itemdetail/rakugo-dl-00066/ より転載)
CDマガジン「昭和の名人」にて