御神酒徳利(おみきどっくり)
●馬喰町の旅籠屋、刈豆屋吉左衛門には、葵紋の銀の御神酒徳利がある。煤取りの日に、放置されている徳利を通い番頭の善六が水瓶の中に借り置きした。煤取りが終わって、御神酒徳利が見つからないと大騒ぎになった。
善六は帰宅したが、水瓶の中に置いたことを思い出して女房に相談すると、算盤占いの振りをして当てたことにしろと言われた。すぐに店に戻って水瓶の中を当ててみせた。
そこで大坂の鴻池の番頭が、善六の占い能力に感心して、店のお嬢さんの病気を見てくれと、一緒に大坂に行くことになった。
旅の途中、神奈川の旅籠で薩摩藩士の巾着と密書が盗まれて、宿主が嫌疑を受けている。善六のインチキ占いが期待され、仕方なく占いを始め、隙をみて逃げ出そうという時に、宿の女中が占いの名人からは逃げられないと、庭のお稲荷さんに隠したことを善六に告白する。善六は機転を利かせて、算盤占いの振りをして、巾着と密書の場所を言い当てた。
この話は、皇后陛下の古希の御祝いで、圓生が宮中で昭和天皇に聞かせた御前口演の題材としても有名。悪人が一人も出てこないおめでたい話として選ばれたとか。このときもう一つ候補になったのが「茶の湯」だった。
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-181.html より転載)
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