天狗裁き(てんぐさばき)
●夢を見ていた八五郎。かみさんに起こされ、見ていた夢を質問されるがどんなに考えても思い出せない。結局《見ていなかった》と申告するが、おかみさんは『寝言を言っていたから夢を見ていたのは間違いない』と言う事をきかない。
そこから「夢を見たんだろ?」「見てないって言っているだろ!」と言い合いになってしまい、かっとなった八五郎はついかみさんに手を上げてしまう。
「殴ったね? 好きに殴りよ、さぁ殺せェ!!」
物凄い騒ぎになってしまい、びっくり仰天した隣の辰公が仲裁しに飛び込んでくる。
何とか八五郎のかみさんをなだめ、喧嘩を治めた辰公。ところが、今度はこの辰公が『夢の内容』を知りたくなってきた。
また喧嘩になってしまい、今度は表を通りかかった大家に仲裁をしてもらった。しかし、この大家もまた『夢の内容』を知りたくなってくる。
「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」という諺を盾に、何とか『夢の内容』を聞き出そうとする大家だが、見ていない物を説明できるわけがない。
「出て行け、店立てだ!!」「誰が出て行くか!?」「出て行かない? お上に訴えてやる!!」とまた大騒ぎになってしまい、訳も分からぬまま八五郎はお白州へ。
この珍妙な事件に奉行も面食らってしまい、最初は「くだらない事を持ち込むな!!」と八五郎を弁護するが、お裁きを進めるうちにこの奉行もまた『夢の内容』が知りたくなってしまう。
奉行に質問され、また「見ていません」と答えた八五郎。奉行は怒ってしまい、八五郎は高手小手に縛られ、奉行所の庭にある松の木に吊り下げられてしまった。
「何でこうなるのかな・・・」と考えていると、急に突風が吹いて八五郎の体がふわりと空へ・・・。
着いたところは鞍馬山。腰をさすりながら、八五郎が顔を上げると何と目の前に天狗が立っていた!
「ど・・・どちら様?」
「鞍馬山僧正坊である」
「何で、私はここに・・・?」
「あんな変な奉行に人は裁けない。だからわしが助けたのだ」
八五郎は大感謝するが、この天狗、話をしているうちに例のごとく『夢の内容』が気になってしまった。
八五郎もとうとうキレてしまい、天狗に向かって「夢なんか見てない!!」と暴言を吐いた。これに怒った天狗が八五郎の首を絞め始める。
「ギャー、助けてぇー!!」
びっくりして目を覚ますとかみさんが横にいる。『夢だったのか』とほっとする八五郎に、おかみさんが
「どんな夢を見たの?」
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%8B%97%E8%A3%81%E3%81%8D より転載)
この噺のオチの部分は、通常、亭主がうなされているので、起こすと夢であった。と言うところで終わります。
権太楼は、一ひねりしてこの噺が永久に回り回って、終わりのない噺にしてしまいました。客席もその事に気づき笑いが起こり、拍手となります。
(http://ginjo.fc2web.com/131tengusabaki/tengusabaki.htm より転載)
ニコニコ動画にて