試し酒 (ためしざけ)
●お店の旦那があって、酒の強い下男がおり一時に五升はいけるという話が出て賭けをする。それを聞いた下男は負けて主人に迷惑をかけてはいけないから外で考えてくると言って出て行く。しばらくして帰ってきて、酒を飲むという。そして、あっという間に飲み干してしまう。負けた相手は、考えてくるといって外に出たとき、酒が飲めるまじないかなんかしたと思って、教えてくれというと、「お、あれかい。あれ、まじないでもなんでもねえだよ。わしゃ、今まで五升とまとまった酒飲んだことねえから、心配でなんねえでよ、表の酒屋で試に五升飲んできただよ」
この話も一升の器で酒を飲むシーンが5回繰り返されるが、その間を酒に関するうんちくを語らせることによってでうまくつないでいく。テンポのいい語り口が持ち味なので、下男のキャラクターがやや鋭く気強くなっている。拙は小さん5師のおっとりとした田舎人が好みだ。それはそうと、流れよく立派な口演でした。
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