※「あくび指南」は収録されていません。
あくび指南(あくびしなん)
●あくびの指南所ができたので、熊さんが源さんを連れて習いに行った。
無意識のあくびは駄あくびといってくだらない、初心者のあくびには、春夏秋冬とあるが、一番易しい夏の稽古をしましょうということで、師匠が手本を示す。
「(船遊びの夕暮れ時で、体が自然と揺れている、煙草を一服吸って)船頭さん、船を上手にやっくれないか、堀から上がって、一口やって、中へでも繰り込んでわっと騒ごうよ、船も良いけど長く乗っていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」と言う具合。
熊さんが、真似をしようとするが、体を揺すり過ぎたり声がでかすぎたり、話が脱線したりで、うまくできない。
「あなたは、不器用ですな」
このやり取りを聞いていた源さんが、
「こんなくだらねぇ話を聞いていると、退屈で退屈で(ホワァー)ならねえや」
「ああ、お連れさんはご器用だ」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-111.html より転載)
春風亭一之輔『あくび指南』 (18:46-19:15)
…今夜聞いた一之輔のこの噺にはヤマが明確に二つある。「あくび稽古指南所」の開設準備(?)をしていた美人が師匠だと思っていた八五郎が、師匠は実は彼女の旦那だったということで落胆するまでが最初のヤマ場。師匠のお内儀さんに精一杯の思いで自己紹介をする場面が、なんとも可笑しい。「商売は大工です。・・・・・・家(うち)、建ててます。」の絶妙の間が爆笑を誘う。その後に実際の師匠が登場し、稽古そのものの可笑しさへと続く。やや慌しい印象もあるが、“あくび”という妙な稽古ごとに行くための動機づけとしてお内儀さんに焦点を当てるのは納得がいく。
ここまではいい。しかし、サゲを少しひねった。その効果というと、難しいところだ。二席目のマクラで、やや反省めいた一言もあったが、自分でも分かっているのだろう。チャレンジ精神は良いが失敗もあるし、彼はまだ失敗も許される。しかし、サゲ直前までは今年のマイベスト十席候補に入れるつもりで聞いていたので、ちょっと残念だ。
(http://kogotokoubei.blog39.fc2.com/blog-entry-538.htmlより転載)
何を習んだと聞かれて、あくびとはっきり言わず、似た言葉でごまかしていると、「ボナペティ?」。
おかみさんにしっかり愛想を振りまいての自己紹介、「でえくです。うち、建ててます」は、臭いほどの間をとってました。一之輔の「あくび指南」は、この一言を聴くためにあるような気がします。
旦那の方から教わるとわかって、「早く帰りたい」とふてくされてたのが、師匠がやる夏のあくびを聴いて、「初めてみました。乙ですね」と驚くけど、確かに情景が目に浮かぶようなあくびでした。
師匠も「おわかりかな」と嬉しそう。一瞬、師弟のつながりができるけど、そんなものはすぐに壊し、吉原をツーといってと、たっぷり笑わせてくれました。
(http://rakumys.blog21.fc2.com/blog-entry-403.htmlより転載)
落語あらすじ事典 千字寄席