厩火事(うまやかじ)
●髪結いで生計を立てているお崎の亭主は文字通り「髪結いの亭主」で、怠け者。
昼間から遊び酒ばかり呑んでいる年下の亭主とは口喧嘩が絶えません。
しかし本当に愛想が尽き果てたわけではなく、亭主の心持ちが分からないと仲人のところに相談にやって来ます。
話を聞いた仲人は、孔子が弟子の不手際で秘蔵の白馬を火災で失ったが、そのことを咎めず弟子たちの体を心配し弟子たちの信奉を得たと話と、瀬戸物を大事にするあまり家庭が壊れた麹町の猿(武家)の話しをします。
そして目の前で夫の大事な瀬戸物を割り、どのように言うかで身の振り方を考えたらどうかとアドバイスをします。
帰った彼女は早速実施、結果夫は彼女の方を心配します。
感動したお崎が「そんなにあたしのことが大事かい?」と質問すると、
「当たり前だ、お前が怪我したら明日から遊んで酒が呑めねえ」
(http://blog.livedoor.jp/isogaihajime/archives/1473847.html より転載)
「MBS1179寄席」で桂ざこば師の「厩火事」。
師の「厩火事」は生では去年動楽亭で聴いたことがある。
実生活の夫婦話を聞くに軋轢があるような物言いだが、実は夫婦愛や家族愛については人並み以上に愛情の深い師のこと、この噺などは営業上の罵詈雑言を否定する、真の心情を吐露できてストレスの解消になっているのではないかと思われる。よく聞けばサゲは決して大団円ではないのだが、それさえも照れでそう言うしかない男の気持ちなのだろう。逆にそう捉えないと嫌な噺になってしまう。だからこそ師にとってみればやりたい噺のひとつなのではないかと思う。
(http://blog.livedoor.jp/kogakudo/archives/51617140.htmlより転載)