船徳(ふなとく)
●訳あって親元を勘当され、大川端にある船宿の居候となっている若旦那の徳兵衛だが、毎日が退屈なのと世話になっている船宿の親方の手前もあり、船頭にしてほしいと頼み込む。始め渋っていた親方だが、船頭たちも賛成してくれたので承知する。
だが、力の無い若旦那の事、一向にお呼びがかからない。夏の暑い盛り、浅草観音様の四万六千日の縁日に船頭が出払ってしまい、馴染みの客から声がかかる。心配する船宿の女房の心配もどこ吹く風と、徳兵衛は客を乗せて大川を渡ろうとするが失敗してばかり、客も「おい。大丈夫かい。」 と声をかけるが、「へえ。大丈夫です。この前は一人御客を川に落してしまいましたが、今日はそんなことはない。」「おい、冗談じゃないよ。」と大騒ぎ。
ようようにして対岸についたが(岸まで着かず、客に川の中を歩いてもらうというやり方もある)、徳兵衛は心身ともに疲れてしまって「御客様。お上がりになったら、船頭一人雇ってください。」
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E5%BE%B3 より転載)
独特の「船徳」。
今日は「質屋」で行きますと、居候の徳さんは質屋の倅という設定。
「質屋蔵」で熊さんが旦那に呼ばれてきっと叱られるんだろうと思い込んで酒泥棒などを自白してしまうのと、この噺でも船頭たちが同じように訊かれもしない悪事をゲロしてしまうくだりがかぶるので、そこを省略したのは、今日だけなのか。
その分、前段でオカミサンと親方、親方と徳三郎のやりとりが長かった。
鯉昇らしい爆笑ワールドになったのは二人の客が船で斜めに揺れて煙草の火を着けるのに四苦八苦する形態模写のあたり。
汗びっしょり(だろうな?)の熱演、
これは夏やる噺じゃないな
ぼそっと呟いて、サゲは「質屋の倅だけに客まで流してしまった」。
徳さんが客に肩車して、蝙蝠傘のお客が流されてしまうのだ。
(http://pinhukuro.exblog.jp/15150839/より転載)
瀧川鯉昇『船徳』
この人は出てきただけで笑いが起こる。
噺は、やりとりの全てがおかしい。
若旦那と船宿の主、船宿の主と船頭達、二人の客と船宿の女将、二人の客と若旦那。
特に船が動き出してからは、船の揺れに合わせた動きを、姿勢を変えつつひたすら続ける。
船が桟橋に近づいたところで一言。
「疲れる落語だ」
サゲは定型的なものとは違っていた。
(http://kamigatarakugo-and-art.at.webry.info/200705/article_29.htmlより転載)