幾代餅(いくよもち)
● 最高級の花魁、幾代太夫の姿を錦絵で見た清蔵は、恋煩いで飯も喉を通らない。心配した親方が、一年間真面目に働いたら太夫に会わせてやると約束した。
これを信じて清蔵は必死に働いて一年が過ぎた。一年分の給金を一晩で使うとは馬鹿者だと言いながらも、一途の念にほだされた親方が、着物を貸して醤油問屋の若旦那に仕立てあげ、医者の竹庵先生に案内を頼んだ。
夢にまで見た一夜は瞬く間に過ぎた。翌朝、今度いつ来てくれるかと問われると、嘘をついていたことを詫び、飲まず食わずで金を貯め一年後には必ずまた来ると告げる。
心を打たれた幾代は、来年の三月に年が明けるから女房にしてくれと、五十両の支度金を清蔵に渡す。夢見心地で時が過ぎると、立派な駕籠に乗って本当に幾代が嫁いで来た。
夫婦で餅屋を開くと、美人の幾代餅として評判になり、三人の子宝にも恵まれ、維新の世まで幸せに暮らしたと。
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-99.html より転載)
●志ん輔 トリにふさわしく本日の白眉。発端こそ、いつもの志ん朝の影法師がのぞいたが、登場人物それぞれに江戸っ子の心意気があふれ、爽やかでまことに立派な出来ばえ。清蔵・幾代が初会で枕を交わす運びはよい。吉原のしきたり上無理はあるが、正直な告白だけでは、幾代があんなに惚れないだろう。
(http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/cat1819354/index.html より転載)
TBS 「落語研究会」にて