無精床(ぶしょうどこ)
●行きつけの床屋が混んでいるので、代わりに入った床屋がたいへんな店。掃除はしていないし蜘蛛の巣だらけ、ハサミも剃刀も錆だらけ。肝心の主人たるや無愛想でぐうたらそのもの……
顔に乗せた手拭いが熱すぎる。「熱いよ!親方!」「こっちも熱くって持ってられねえから、お前の顔に載せたんだ」
次は頭を濡らしてもらおうと頼むと、「水桶にボウフラがわいているから」「おい親方、ボウフラなんか湧いてるのかよ!」「これぁ飼ってんだよ。水桶をこう叩くだろ。そら、沈んだ。かわいいだろ。その間に頭ぬらしとけ」非衛生極まりない。
頭を剃る段になると、小僧に剃らせようとする。「おい大丈夫かい?」「何言ってやがんでえ。うちの小僧にも稽古させねえといけねえ」「俺は稽古台か!」
しぶしぶ剃刀を当てさせると、案の定痛くてたまらない。聞くと下駄を削った剃刀で剃っているという。呆れて音を上げた客、剃刀も親方に代わってもらうが、親方は客の頭がデコボコで剃りにくいとこぼす始末。しかも側に控えて見学する小僧にいちいち指図する。
「おい、俺の手元よく見ておけ……何見てんだ? 何ぃ、表に角兵衛獅子が通っている!? そんなもの見てんじゃねえよ!」と小言の連続。そのうち親方、手を滑らせる。
「あ痛ッ! ああっ、血が出ちまったじゃあねえか。親方! どうしてくれるんだ!」
「なあに、縫うほどのものじゃねえ」
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E7%B2%BE%E5%BA%8A より転載)
志らくの1席目は、以前、紀伊國屋に用があって行ったら、その日の紀伊國屋寄席に出る歌丸が来れないため代演でトリを頼まれた話で笑わせて、「不精床」へ。
客を乞食と思った不精の床屋の勘違ぶりから始まって、桶の中のボウフラ、一度切り落とした客の耳を食べ、味を覚えた犬が店に入ってきたりと、テンポよくシュールな世界が展開してきます。
最後は逃げ出そうとする客に金を払えと床屋が刀を取り出し、「これがホントの武将とこ~」でサゲでした。
(http://rakumys.blog21.fc2.com/?m&no=192 より転載)
ニコニコ動画にて