青菜(あおな)
● 一日の仕事が終えた植木屋に、屋敷の旦那が酒を振る舞っている。肴に鯉の洗いを出して、次に菜を出そうと奥さんに告げると奥さんは、
「鞍馬から牛若丸が出でましてその名を九郎判官」
「では義経にしよう」
この会話が菜を既に食べてしまってないことを伝える為に「その菜を食ろう」と奥さんが洒落たのを受けて「ではよしにしよう」と返したと聞いた植木屋が自宅で真似るのだが。
折りよく客が来たので、奥さんを戸棚に押し込んでから、鯉の洗いに見立てて鰯を食わせ、続けて菜を出せと戸棚に押し込んだ奥さんに告げると、奥さんが間違えて
「その名を九郎判官義経」
と、よしつねまで喋っちまった。
植木屋慌てて
「で、では、弁慶にしよう」
(http://mengjian.blog104.fc2.com/blog-entry-33.html より転載)
お調子者の主人公が覚えたての知識を頓珍漢に繰り返すと笑えてしまうという、落語構造特有の“おうむ返し”、この噺はその代表格だ。
実はたい平の「青菜」はその“おうむ返し”が始まる前の本来あまりうけない場面でも、氷を食べたり、酒を飲む仕草などで笑わせてしまうところが別格に楽しい。そしてもちろん後半は大爆笑だ。
夏の暑い日、植木屋は出入りのお屋敷で旦那からご馳走になり、さらに菜のおしたしをすすめられたが、これがすでに無いことがわかる。
その際の旦那と奥様の粋な言葉のやり取りに感動、早速その言い回しを教えてもらい、うちでもやろうと帰ってかみさんに教えてみた。
さて粋なやり取りはうまくいくのでしょうか。
2009年4月29日 池袋・東京芸術劇場中ホール「林家たい平大独演会“たい平一門かい?”第2回」にて収録
(http://columbia.jp/artist-info/taihei/COBA-6313.htmlより転載)